「メタモルフォシス」羽田圭介

羽田圭介著のメタモルフォシスを読んだ。

「メタモルフォシス」と「トーキョーの調教」の二作の入った小説。

この話、SMの描写があまりにも鮮明で、読んでいる途中吐き気を催してしまった。
しかし行動の思考の過程がわかりやすく表現されていて、人を惹きつける魅力ある文章になっている。

前編のメタモルフォシスは既にSMに浸かっている人間が更にその極限へと向かう様を書いているのに対して、
後編のトーキョーの調教の方は、徐々にSMにハマっていく様を描いていて読みやすく、またそれが現実社会の立場と対照となっているのが面白かった。

本能を疑えという言葉が心に残った。本能のままにとか、本能に従えとか、本能は肯定されるものだと思っていたから価値観をひょいとひっくり返された気がする。